自動車の黎明期~大量生産へ

ドディオンブートン(1899年)

20世紀に大発展したガソリン車の基礎的技術を確立した元祖の車。当館で一番古い車両で、フランスのドディオン伯爵と玩具職人のジョルジュ・ブートンの合作。

はじめは蒸気自動車を発明し、その後、1897年にガソリンエンジンを動力とする本格的な乗用自動車を世界に先駆けてつくりあげた。当時、パリのレースで人気が高かったスピード感のある3輪車に負けない為、軽量4輪車を開発し、エンジンは出力を1.75馬力から、2.25馬力にアップし、3輪車に劣らない優れた性能を得た。(1899年、フランス)

ドデオンブートン
ロコモービル

ロコモービル(1901年)

蒸気自動車が発明されたのは1769年とされ、蒸気機関車(1804年)や、蒸気船よりも古い歴史を持つ。日本に登場したのは、1902年で横浜の貿易商が米国・ロコモービル社製の蒸気自動車を最初に輸入し、その輸入された第1号車が当館展示のロコモービルであるという説が有力である。

ボディは木製で、2本の長い鋼鉄管の上に乗せられている。300本の管から成るボイラーで蒸気を出し、2気筒の複動エンジンを動かし、毎分400回転させて3馬力出すことが出来た。(1901年、アメリカ)

ベルリエ V-G22(1922年)

大正時代に輸入されたフランス製のお洒落なデザインのツーリングカー。

ベルリエ社は、1895年にマリウス・ベルリエによって創立され、高級乗用車の製造を行い、後には軍用車、トラックなども手掛け、1967年、シトロエン社に吸収された。

この車は大正時代に個人の輸入業者、山口勝蔵商店の手により日本に輸入されたもので、ヨーロッパの高級車を数多く輸入したことから「山勝」の呼称で知られるようになった。V-G22型はオープン・スポーツ・ツアラーで宮家のレジャー用に供されたもので、1944年(昭和19年)に、浜 徳太郎氏が宮家より入手された車両。

1996年12月より、日本自動車博物館にて展示された。(1922年、フランス)

ベルリエV−G22
フィアットトポリーノ

フィアット 500B / トッポリーノ(1936 - 1955年)

1936年(昭和11年)にフィアットから発売された2人乗りの超小型車が「フィアット500」。

フラットなフレームに載せられた小柄なボディは、丸みのあるボンネットと、その脇のフェンダー上の高めの位置に外付けされたヘッドライトによる愛嬌のあるデザインで構成される。

小柄なボディで街中を機敏に走る回る様子からハツカネズミを意味する“トッポリーノ”の愛称で呼ばれ、「国民車」として商業的に大成功を収めた。超小型車にもかかわらず、フロントに小型の4気筒エンジンを搭載して後輪を駆動。

1948年のマイナーチェンジで、エンジンのバルブ方式がSV方式からOHV方式に改良されて出力アップされ、名称が「500 B(トッポリーノ)」となった。1949年にはフロント周りのデザインがアメリカ車的になった「500 C」に発展。展示車は1948年生産の「フィアット 500 B」。(1936年、イタリア)